さわかみ投信が運用・販売する「さわかみファンド」が、つみたてNISAの対象商品として登録するための要件を満たさなくなる可能性があります。
つみたてNISAの対象商品となるためにアクティブファンドに課せられる「資金流入超過の期間が3分の2」という条件が厳しいのです。
詳しく見ていきましょう。
さわかみ投信は、「つみたてNISA」の導入を見送り
さわかみファンドは、個人投資家から支持を集めてきた老舗のアクティブファンドです。
しかし、さわかみ投信はつみたてNISA導入を見送った経緯があります。
つみたてNISAの対象銘柄入りは確実とみられていましたが、つみたてNISAの対象銘柄に立候補することなく、現在に至ります。
カッコよく「つみたてNISA」にNOを突き付けたのです。
アクティブファンドに求められる要件は厳しい
つみたてNISAの対象ファンドになるためには、販売手数料や信託報酬など細かな要求がありました。
また、アクティブファンドの場合は、インデックスファンドよりも更に厳しく以下の条件が課せられました。
- 純資産総額額が50億円以上
- 信託設定以降5年以上経過
- 信託の計算期間のうち資金流入超の回数が3分の2以上であること
特に3番目の「信託の計算期間のうち資金流入超の回数が3分の2以上であること」が非常に厳しい条件です。
この条件が満たせるアクティブファンドは非常に少ないと言われており、全体の2%とされています。
この部分を細かく見ると法律上は以下のように定義されています。
さわかみファンドは資金流出が続いている
長年にわたって人気を集めてきた「さわかみファンド」です。
しかし、ここ数年は資金流出が続いているのが現状です。
つみたてNISAの要件にある「終了した信託の計算期間の数」とは、ファンドの決算期の数を指していると思われます。
そのため、さわかみファンドの決算期ごとの資金流出入を推計してみました。
実は、14期(2012年8月24日から2013年8月23日)以降、資金流出が続いている状況です。
微妙なのは17期で、当サイトの推計値ではわずかながらマイナス(資金流出超)となります。
ただし、推計値のため誤算によりプラス(資金流入超)となっている可能性もあります。
17期は口数は増えているのですが、資金の流出入と完全には一致しないので判断が難しいところです。
さわかみファンド「資金流入3分の2以上」が厳しい
このグラフを見るとさわかみ投信が「資金流入3分の2以上」を満たしているのか心配になってしまいます。
17期が資金流入超であった場合
17期の正確な値が資金の流入超過であったと仮定して考えましょう。
さわかみファンドは現在までに20期を終えています。
そのうち、14期分が資金流入超過であったとします。
「20分の14」は「3分の2.1」です。
3分の2以上という基準を満たします。
なお、さわかみファンドは今期(21期)も資金流出が続いています。
2020年2月末時点で、80億円以上の資金流出超となっていると思われます。
仮に21期が資金流出になった場合でも、「21分の14」でちょうど「3分の2」となり、「3分の2以上」という基準をギリギリ満たせます。
17期が資金流出超過であった場合
17期が資金流出超過であったと仮定して計算してみましょう。
20期を終えた時点で資金流入は13期分です。
「20分の13」は「3分の1.95」となります。
残念ながら、すでにつみたてNISAの対象となる要件を満たせない状況になっています。
つみたてNISAを見送ったものの、2019年8月24日以降「さわかみファンド」はつみたてNISAに立候補できない状況に置かれていることになります。
ただし、今期の決算(2020年8月24日)までに資金の流出が続き、今期が資金流入超過ということになれば、ちょうど「3分の2」となり条件を満たせます。
どちらにしても資金流出が続いては厳しい
17期が流入超過か流出超過かで微妙に変わってきますが、今現在も「さわかみファンド」は流出超過が続いている傾向です。
ここ半年も流出超過の月が連続しています。
投資家からの支持を得てカッコいい「さわかみファンド」になってほしい
さわかみ投信の「さわかみファンド」はつみたてNISAの要件を満たしていましたが、あえて導入を見送りました。
投資家からは支持さているファンドだが、つみたてNISAは導入しないという強いメッセージがあったのです。
でも、このままの状況が続けばそのメッセージもカッコわるくなってしまいます。
仮にギリギリつみたてNISAの基準を満たせたとしても、ここ最近はほとんど流出している状況では長期投資の老舗としてなかなか厳しいものがあります。
さわかみ投信は積立投資の文化を作ってきた会社ともいえるでしょう。
積立投資や長期投資の先輩ファンドとしてしっかり投資家からの支持を勝ち得ていってほしいです。