ある意味、直販投信!「野村スリーゼロ先進国株式投信」

投資信託を選ぶ

野村グループから「野村スリーゼロ先進国株式投信」が発表されました。

条件付きながら、信託報酬が完全にゼロ%となる投資信託は日本初でしょう。

でも、これって、ある意味で野村グループによる完全直販の投資信託にも見えてしまいます。

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「野村スリーゼロ先進国株式投信」とは

「野村スリーゼロ先進国株式投信」は、2020年2月25日に野村グループから発表されたファンドです。

特徴は信託報酬が完全にゼロ%となる点です。

信託報酬は、販売会社、信託銀行、運用会社の3者で配分されるものですが、3者のいずれも信託報酬を受取らないという日本初のファンドとなります。

また、販売手数料や解約手数料、信託財産留保額ももちろんゼロなので、最安コストの投資信託ということになります。

ただし、永遠に信託報酬ゼロではありません。

2031年1月1日以降の信託報酬率は0.11%(税抜0.10%)以内の率とするものとし、同種ファンドにおける業界最低水準を目指して決定します。

つまり、2031年以降はある程度の信託報酬がかかってくる予定となっています。

どうして直販投信に見えてしまうのか?

どうして「野村スリーゼロ先進国株式投信」が直販投信に見えてしまうのでしょうか。

関係する会社がすべて野村グループ

信託報酬を受取る会社がすべて野村グループだからです。

運用会社・・・野村アセットマネジメント
販売会社・・・野村證券
信託銀行・・・野村信託銀行

運用会社と販売会社は別の会社なので、もちろん直販投信とはいえません。

でも、上記3社はすべて野村ホールディングスの100%子会社です。

野村グループで販売されるファンドは基本的にこの3社で組成されているのかと思いましたが、野村信託銀行を使っているのは少数派です。

10年後まで受託銀行の取り分ゼロの条件を受け入れる信託銀行は見つからないのではないでしょうか?(しかも、10年後の取り分も現時点では決まっていません)

そのため、今回このファンドを組成するにあたって、野村グループの野村信託銀行が選ばれてたと推測できます。

野村證券のみでの販売

「野村スリーゼロ先進国株式投信」は、野村證券のみでの販売です。

野村證券でつみたてNISAを利用してオンライン申込をする場合にのみ利用できるファンドです。

他社で販売することになると、野村グループとしてはメリットがほとんどないので今後も野村證券のみでの取扱いになると予想されます。

受託銀行も含めて同一グループで組成したファンドをグループの証券会社のみで販売するというのは、ある意味で野村グループの直販と見ることもできます。

既存の独立系直販投信が追随できるか

既存の直販投信が「野村スリーゼロ先進国株式投信」と同じように信託報酬ゼロのファンドを販売する可能性を考えてみましょう。

アクティブファンドであれば無理

結論から言うと、99%無理だと思われます。

独立系運用会社が販売する直販投信はすべてアクティブファンドです。

アクティブファンドであれば、信託報酬がそもそもが高くなり、インデックスファンドのように極限まで下げていくことが現実的ではありません。

受託銀行が無理そう

では、仮にインデックスファンドを直販投信が組成する場合はどうでしょうか?

直販投信であれば、運用会社と販売会社が一体なので、信託報酬が低いインデックスファンドは容易に作れそうです。

しかし、受託銀行が問題になってくるでしょう。

偶然にも、「さわかみファンド」や「ありがとうファンド」の受託銀行は、「野村スリーゼロ先進国株式投信」と同じ野村信託銀行です。

しかしながら、野村信託銀行がグループ外の運用会社から信託報酬ゼロ案件を受け入れるとは思えません。

まして「具体的な信託報酬は10年後に決めます」なんてもってのほかでしょう。

信託報酬ゼロの「野村スリーゼロ先進国株式投信」は、野村グループの総力をあげて作られたファンドです。

ですから、独立系運用会社では無理なのです。

大手の直販は参入できるかも

大手の直販投信なら可能性があるかもしれません。

例えば、三菱UFJ国際投信は、「mattoco」というブランドで投資信託を直販しています。

三菱UFJフィナンシャル・グループなら、三菱UFJ信託銀行もあるので、野村グループと同じようなことができるかもしれません。

「野村スリーゼロ先進国株式投信」は行き過ぎた競争

「野村スリーゼロ先進国株式投信」は、条件付きとはいえ信託報酬がゼロとなり投資家にとっては良いことです。

しかし、心配なのは信託報酬がゼロという、ある意味で限度を超えた競争になってきているという点です。

つみたてNISAの制度ができることで、インデックスファンドの信託報酬引き下げ競争に拍車がかかりました。

ここまでは、金融庁の思惑通りでしょうが、信託報酬ゼロというところまで行くことは期待していなかったでしょう。

金融機関が適切な手数料を受け取れずに、成り立たなければ運用会社・運用会社・信託銀行のどれもが経営が成り立たなくなります。

こういったファンドがたくさん出てくると、資金力を競う体力勝負になります。

そうなったときに、最後に残るのはガリバー野村です。

「野村スリーゼロ先進国株式投信」は尖ったファンドではあるのですが、不当な価格競争にならないか心配です。

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