さわかみファンド、つみたてNISA対象ではない理由

さわかみ投信

さわかみ投信が運用・販売する「さわかみファンド」が、現在「つみたてNISA」の対象商品ではありません。

2017年に「つみたてNISA」の制度が発表された時は、「さわかみファンド」は確実と思われていました。

さわかみファンドは、個人投資家から支持を集めてきた老舗のアクティブファンドで、つみたてNISAの高い要件を満たしていました。

しかし、さわかみ投信はこの制度の導入を見送った経緯があります。

詳しく見ていきましょう。

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「つみたてNISA」とは

「つみたてNISA」は、少額からの長期・積立・分散投資を支援するために設けられた非課税制度です

もともと、2014年からNISA(少額投資非課税制度)がありましたが、このNISAの積立投資版といえるでしょう。

積立投資で特定の投資信託を購入する場合、毎年40万円までが非課税の対象となります。

つみたてNISAで購入した投資信託から得られる分配金や譲渡益について、最大20年非課税期間中は課税されません。

しかし、つみたてNISAで購入できるファンド(投資信託)は限られています。

長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。

つみたてNISAの対象商品となるために

つみたてNISAの対象商品となれるのは、長期の積立・分散投資に適しているとされる要件を満たしたファンドだけです。

厳しい「つみたてNISA」の条件

例えば、インデックスファンドの場合は、定められた指数に連動するもので、以下のような条件を満たしておく必要があります。

  • 信託報酬が一定水準以下
  • 販売手数料ゼロ(ノーロード)
  • 信託期間が無制限または20年以上
  • 毎月分配型の投資信託は除く
  • 為替ヘッジの目的以外のデリバティブ取引による運用は行わない
  • 金融庁へ届出がされていること

アクティブファンドはさらに厳しい条件

アクティブファンドの場合はさらに厳しい条件が課させられました。

上記の条件に加えて、アクティブファンドでは以下の要件も満たす必要があります。

  • 純資産総額額が50億円以上
  • 信託設定以降5年以上経過
  • 信託の計算期間のうち資金流入超の回数が3分の2以上であること

一番難しいと言われたのが、3番目の「資金流入超の回数が3分の2以上」という条件です。

この条件をほとんどのアクティブファンドがふるい落とされました。

現在でも、つみたてNISAの対象商品となっているアクティブファンドは18本しかありません。

直販投信の多くは条件を満たした

資金流入超の回数が3分の2以上」は、多くのアクティブファンドは満たせませんでした。

直販投信は積立投資を基本として最初から営業していることもあり、多くのファンドが資金流入のこの条件を満たしました。

当初、アクティブファンドで条件を満たすのは8本だけで、そのうち直販投信のファンドが5本を占めると報道されたこともありました。

Morningstar | Ibbotson

一部のファンドは信託報酬の引き下げなどの調整を経て、最終的に以下6本の直販ファンドがつみたてNISAの対象商品となっています。

  • コモンズ30ファンド(コモンズ投信)
  • ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)
  • ひふみプラス(レオス・キャピタルワークス)
  • 結い2101(鎌倉投信)
  • セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信)
  • セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)

「つみたてNISA」にNOを突きつけた「さわかみファンド」

さわかみ投信が運用する「さわかみファンド」も、つみたてNISAの基準を満たしており、対象商品入り確実とみられていました。

さわかみファンドは金融庁へ届出せず

しかしながら、さわかみファンドは「つみたてNISA」のための届出を金融庁に提出しませんでした。

つみたてNISAの制度に対して、事実上のNOを突きつけました。

日本経済新聞でも以下のように取り上げられました。

老舗のさわかみ投信、「つみたてNISA」にNO 導入見送りのワケ - 日本経済新聞
「来年から始まる"つみたてNISA"に関しまして、制度開始時の導入は見送ることにいたしました」。独立系運用会社のさわかみ投信が2日、唐突とも言えるお知らせを公表した。10月に入り、積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の口座開設...

2017年10月2日に、さわかみ投信も自社のウェブサイトに「つみたてNISAに関しまして」 というお知らせを掲載して説明しています。

さわかみファンドが「つみたてNISA」を導入しない理由

さわかみ投信がつみたてNISAを導入しなかった理由は何でしょうか?

会社からのメッセージや報道から考えると、以下のような理由だそうです。

  • 直販運用会社としてやるべきことが他にある
  • 制度の導入にかかる経営資源を他にあてる
  • 税制優遇に期限があり、売りを誘発する可能性がある
  • ファンドを制度に合わせて行く必要があるかもしれないため

つまり、つみたてNISAを導入しなくとも、税制優遇がなくとも、さわかみファンドを魅力的な商品へと育てていけるということでしょう。

つみたてNISAは金融庁の肝いり政策と言われていましたが、なんともカッコよくで、制度導入を見送ったのです。

一般NISAは導入したさわかみ投信

一方、一般NISAについては、さわかみ投信も2014年の制度開始当初から導入しています。

一般NISAを導入した理由について、

傍観者ではなく実践する立場から制度を考えていこうと判断したから

と説明しています。

同じ理論で「つみたてNISA」も導入して欲しいと思いますが、つみたてNISAが期間限定であることや売りを誘発する可能性などを考慮すれば納得はできます。

非課税期間が無期限になれば導入するかも

このような経緯で、さわかみ投信の「さわかみファンド」はつみたてNISAの対象商品ではありません。

しかし、今後状況が変わる可能性もあります。

投信おじさんが思うに、一番の理由は非課税期間が最大20年であり、20年後に売りを誘発してしまうことだと思います。

このあたりの制度変更が加われば、長期投資を後押しする制度として、つみたてNISAを導入することをあり得るでしょう。

さわかみファンドは、長期投資のパイオニアであり、積立投資でもパイオニア的存在です。

そんなパイオニアに制度が追いついていないだけなのかもしれません。

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